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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成29年雇用-第1問(失業等給付)
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■平成29年雇用-第1問(失業等給付)

失業等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。

(B)基本手当の受給資格者は、基本手当を受ける権利を契約により譲り渡すことができる。

(C)偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

(D)失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その未支給の失業等給付の支給を受けるべき者(その死亡した者と死亡の当時生計を同じくしていた者に限る。)の順位は、その死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順序による。

(E)政府は、基本手当の受給資格者が失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合であっても、当該基本手当として支給された金銭を標準として租税を課することができない。



■解説

(A)正解
法10条の2
求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、雇用保険の求職者給付は、離職した被保険者が失業状態にあること、すなわち労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることが確認できた場合に支給されるものであることから、失業の認定の対象となる者が積極的に求職活動を行っていかなければならないことは制度上当然の前提である。「就職への努力」の規定は、平成15年の法改正において雇用保険制度全般にわたる見直しを行うに当たり、基本手当をはじめとする求職者給付について制度の趣旨にかなう受給者に的確な給付が行われることがより強く求められたことから、制度の趣旨を明らかにするため求職者給付の受給者が、職業能力の開発及び向上を含め誠実かつ熱心に求職活動を行い、職業に就くよう努めなければならない旨を確認的に法律上明記したものである。

(B)誤り
法11条
失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
よって、「契約により譲り渡すことができる。」とした問題文は誤りとなる。
なお、失業等給付を受ける権利は、受給者の一身専属的な権利であり、かつ、失業者の最低生活を保障することを主たる目的とする給付であるので、その目的のために使用されることを確保するため、一般の債権と異なり、これを他人に譲り渡すことはできず、担保に供することも差し押さえることも禁止されている。

(C)正解
法10条の4
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、不正受給金の返還を命ぜられる者は、受給者資格等の失業等給付を受けることのできる権利を有する者本人に限定されず、広く「偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者」である。したがって、受給資格がないのに離職票を偽造した者、他人の受給資格者証を使用した者等も含まれる。

(D)正解
法10条の3
未支給の失業等給付の支給を請求できる者は、死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた者であり、支給を受けるべき者の順位は、記載の順序による。
よって、問題文は正解となる。
なお、「生計を同じくしていた」とは、生計の全部又は一部を共同計算することによって日常生活を営むグープの構成員であったことをいい、生計を維持されていたことを要せず、また、必ずしも同居していたことを要しないものとされている。

(E)正解
法12条
租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
よって、問題文は正解となる。

  

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