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■平成29年雇用-第4問(離職理由に基づく給付制限)

公共職業安定所長が認定した被保険者の離職理由に基づく給付制限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業所に係る事業活動が停止し、再開される見込みがないために当該事業所から退職した場合、退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。

(B)行政罰の対象とならない行為であって刑法に規定する犯罪行為により起訴猶予処分を受け、解雇された場合、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇として給付制限を受ける。

(C)支払われた賃金が、 その者に支払われるべき賃金月額の2分の1であった月があったために退職した場合、退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。

(D)配偶者と別居生活を続けることが家庭生活の上からも、経済的事情からも困難となり、配偶者と同居するために住所を移転したことにより事業所への通勤が不可能となったことで退職した場合、退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。

(E)従業員として当然守らなければならない事業所の機密を漏らしたことによって解雇された場合、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇として給付制限を受ける。



■解説

(A)誤り
法33条1項、行政手引52203
適用事業所が廃止された(当該事業所に係る事業活動が停止し、再開される見込みのない場合を含む。)ために当該事業所から退職した場合は、退職するについて正当な理由ありとして、給付制限を受けないこととされている。
よって、「退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法33条1項、行政手引52202
刑法に規定する犯罪又は行政罰の対象となる行為を行ったことによって解雇された場合は、「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」として給付制限の対象となる。
しかしながら、この基準は「処罰を受けたことによって解雇された場合」であるから、単に訴追を受け、又は取調べを受けている場合、控訴又は上告中で刑の確定しない場合は、これに包含されない。また、刑法に規定する「執行猶予中」の者は単に刑の執行を猶予されているにとどまり、刑は確定しているのであるからこれに該当し、「起訴猶予」の処分を受けたものは刑が確定しているのではないからこれに該当しないこととされている。
なお、行政罰の対象となる行為とは、例えば自動車運転手が交通取締規則に違反する場合等をいう。
よって、「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇として給付制限を受ける。」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法33条1項、行政手引52203
支払われた賃金が、その者に支払われるべき賃金月額の3分の2に満たない月があったため、又は毎月支払われるべき賃金の全額が所定の期日より後の日に支払われた事実があったために退職した場合は、退職するについて正当な理由ありとして、給付制限を受けないこととされている。
よって、「退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法33条1項、行政手引52203
配偶者又は扶養すべき親族と別居を続けることが、家庭生活の上からも、経済的事情等からも困難となったため、それらの者と同居するために事業所へ通勤が不可能又は困難な地へ住所を移転し退職した場合は、退職するについて正当な理由ありとして、給付制限を受けないこととされている。
なお、「配偶者」は、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含み、その者が職業を有していると否とを問わない。また、「扶養すべき親族」とは、直系血族、兄弟姉妹及び家庭裁判所が扶養の義務を負わせた3親等内の親族をいう。
よって、「退職に正当な理由がないものとして給付制限を受ける。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法33条1項、行政手引52202
事業所の機密は、従業員として当然守らなければならない機密であり、これを他に漏らしたことによって解雇されることは、自己の責めに帰すべき重大な理由と認められ、給付制限の対象となる。
なお、事業所の機密とは、事業所の機械器具、製品、原料、技術等の機密、事業所の経営状態、資産等事業経営上の機密に関する事項等を包含する。
よって、問題文は正解となる。

  

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